魚沼市(新潟) 繁松山(660m)、あおり山(790m)(未踏) 2023年3月25日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 5:30 除雪終点(駐車箇所)−−5:45 橋−−5:54 斜面取付 5:59−−6:08 尾根に乗る−−6:23 340m峰−−6:37 401.9m三角点峰−−7:14 573m峰−−7:44 658.2m三角点峰−−7:52 660m峰(繁松山)−−8:06 670m峰−−8:12 651m峰−−8:38 撤退(標高740m)−−8:51 651m峰−−8:59 670m峰−−9:14 660m峰(繁松山)−−9:20 658.2m三角点峰−−9:38 573m峰−−9:52 401.9m三角点峰−−9:58 340m峰−−10:18 橋−−10:37 除雪終点(駐車箇所)

場所新潟県魚沼市
年月日2023年3月25日 日帰り
天候曇&ガス
山行種類残雪期の藪山
交通手段マイカー
駐車場向松川集落の除雪終点に駐車
登山道の有無無し
籔の有無繁松山付近で尾根上の雪が落ちて藪が出ており潅木藪。他は残雪のため無雪期の藪の状態は不明
危険個所の有無あおり山手前の標高740m付近で崖に近い超急な岩尾根になり、岩装備無しで突っ込むのは無謀な状態。他に危険箇所は無い
冬装備スノーシュー(無くても大丈夫だったかも)、ピッケル(未使用)、10本爪アイゼン(未使用)
山頂の展望繁松山:東に展望が開ける
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コメント向松川集落から松川川/毛の又沢川に挟まれた尾根を登って繁松山、あおり山を目指したが、あおり山山頂直下で岩尾根に阻まれてて撤退。ここの突破には岩装備と技術が必要。この岩壁帯以外は危険箇所は無く、まだ藪は僅かしか出ていなかったので雪を利用して楽ができたが、藪が出ていた区間の藪の程度はさほど酷くなく獣道もあり、もしかしたら無雪期でもいけるかもしれない


繁松山の三等三角点。四角い御影石の標石ではなく円筒形の陶器と円形の金属板製だった


向松川集落端の除雪終点に駐車 除雪終点
意外にもキャタピラ跡が続き圧雪で沈まずに快適だった 毛の又沢川にかかる橋。地形図通りに存在した
毛の又沢川。橋が無ければ渡るのは不可能 橋の先には林道が続く
杉植林が切れた斜面に取り付く スノーシューの出番
植林帯に突入したが花粉は全く感じず 林道を横断
尾根に出た。雪が残っていてこの先も期待できる 標高310m肩で植林から自然林に変わる
マンサクの花 奥に見えるのが401.9m三角点峰
雪が消えた場所でも藪は薄そうだった 340m肩から見た401.9m三角点峰
401.9m三角点峰から見た東側の展望。この時間帯が霧が最も薄かった
401.9m三角点峰から見た西側の展望
標高400m付近 標高400m付近の藪。まだ薄いまま
標高460m付近の藪。獣道が見られた 標高480m付近。杉直下の雪が花粉で黄色く染まっている
標高490m付近。尾根幅が広がって残雪が豊富になる カモシカの新しい足跡
標高560m付近から振り返る 573m峰直前から見た繁松山
573m峰 573m峰南東側から見た繁松山
560m鞍部 尾根上には境界標識が散見された
標高590m付近 標高610m付近。雪が終わって藪尾根を登る
灌木中心だが思ったより藪は薄い 今年初のイワウチワ。北斜面で咲いていた
獣道が見られた 繁松山658.2m三角点峰
これでも三等三角点。御影石以外の物は初めて 三角点より先の尾根直上は密な灌木藪
でも尾根西側に獣道あり 650m鞍部付近
繁松山最高峰660m峰。ここから雪が復活する 標高650m付近
580m鞍部は二重山稜で中央には窪みあり 主尾根は二重山稜東側から西側に移り、尾根を乗り換える
標高640m付近で雪が切れる 短距離で再び雪に乗る
標高660m付近 670m峰手前でスノーシューをデポ
670m峰への登り 670m峰
640m鞍部 651m峰
標高650m付近 標高680m付近
折れ曲がった杉。新たな植林の半分程度は幹が折れていた 標高720m付近。尾根上の藪を避けて西斜面を迂回
標高680m付近で雪が落ちた岩尾根に突入 倒木下を潜って通過
この岩で断念。ギリギリ登れてもロープ無しでは安全には下れない 右側の岩もマズい傾斜で断念
岩場には朽ち果てて切れたロープあり 岩尾根直下から見上げるがガスで見えなくなっていた
651m峰 670m峰
デポしたスノーシューを回収 標高640m付近
タムシバの蕾。開花は近そう 630m鞍部からの登り返し
繁松山最高峰660m峰 繁松山三角点峰へは尾根西側直下の獣道を利用
繁松山658.2m三角点峰 繁松山658.2m三角点峰東側の杉植林帯
イワウチワのアップ撮影。他の箇所でも咲いていない株は多数あった 標高620m付近。藪尾根から東斜面の残雪に乗る
標高600m付近 573m峰
573m峰から見た北東側 標高420m付近
401.9m三角点峰から北を見ている 雲が薄くなりに太陽の輪郭が見えた
標高340m付近でツボ足で潜るようになったので スノーシューにスイッチ
標高320m付近。植林との境界 310m肩で植林に突入
標高250m付近。帰りは尾根を忠実に下った 標高210m付近
林道直上 橋の袂に着地
橋の銘板。年数にしては新しそうに見えた 橋の下流側の毛の又沢川
雪に埋もれた林道を戻る8 杉の木直下の雪は花粉で黄色くなっている(涙)
キャタピラ終点 雪に埋もれた路面は舗装されているようだ
繁松山に続く尾根を振り返る。山頂は霧の中で見えない キャタピラ終点からはツボ足
除雪終点到着


 今週末は南岸に前線が停滞して南ほど天候が悪く、日曜日は広範囲で雨の予報であった。3日間ほど天候が持てばテントを背負って行きたい場所があるのだが残念ながら無理。このままでは今年も雪解けが進んで藪が出てしまうが、悪天の中を幕営装備を担いで行動する気力はもう無い。

 雨が降っても許容できる残雪の軽い山を考えて地図で見つけたのが繁松山とあおり山。上下権現堂山〜唐松山の稜線から北に派生する尾根上にあり、北側の向松川集落からさほど遠くない。標高は高倉山より低く1週間遅いので雪解けが進んでいると考えられるが、北側から登れば残雪がある確率を高められるので、向松川集落から北向きの尾根を登るしかない。この尾根は松川川沿いと毛の又沢川沿いの県道に挟まれているが、どちらの県道もどこかに抜けられるわけではなく沢沿いを奥へと続いてどん詰まり。道幅も狭くなぜ県道扱いなのか不思議である。いくら県道でも向松川集落より先には人家はないので除雪されていないだろう。今回は2つの県道が分かれる尾根末端から取り付く計画である。地形図によるとここには毛の又沢川にかかる橋があるはずで、もし橋が無かったら毛の又沢川沿いの県道→林道を進んで林道が毛の又沢川右岸に移ったところで斜面に取り付くしかなく、無駄に長い林道歩きが必要となる。橋があることを祈るばかりだ。

 もう一つ気になるのがあおり山山頂北側直下の崖マーク。尾根直上には崖マークは無いが両側が崖で、近年の地形図は小さな崖は地形図に表記しなくなったので、本当に尾根直上に崖が無いとは限らない。こればかりは現場に行かないと分からないので、もしかしたらあおり山は登れずじまいで終わる可能性がある。

 金曜夜は飯山付近から霧雨が降りだして道路には霧がかかって視界が悪いが、今年は何度も通っている道なのでいつもと同じスピードで突き進む。完全に全てのカーブの状態を記憶しているわけではないが、ブレーキが必要そうな場所だけは記憶しているので大いに参考になった。霧雨と霧は向松川集落まで続いたが明日は雨が上がるだろうか。まあ、雨でも登るつもりだけど。集落から少し離れた場所で車中泊。

 翌朝、朝飯を食ってまだ暗い時刻に向松川集落南端の除雪終点に到着。終点は広くなっているので片隅に駐車。準備している間に徐々に明るくなってライト不要に。この時期は5時半でもう明るいのだ。しかも今日は曇なので晴れていればもっと早く明るくなるだろう。

 今回の冬装備はスノーシュー、ピッケル、10本爪アイゼンとした。スノーシューが不要な雪質に早くなって欲しいが、逆に雪解けが進んで標高が低い山は藪が出てしまい、残雪の山の選択肢がどんどん狭まってくるので悩ましい。

 除雪終点から雪に埋もれた県道を歩き始めるが、意外にもキャタピラのトレースがあり圧雪されていて長靴のままでも全く沈まないので楽だ。どこまで続いているかと思ったら最初の沢まで。いったいここまで何をやりに重機が入ったのか不明だった。

 この先は圧雪されていない県道歩きだが、気温が高いようで雪の表面は全くクラストしていないが沈む深さは足の甲程度でさほど沈まなず、かなり雪が締まってきているのはいい兆候だ。しかし全く沈まないよりは疲れるのは事実。今は立木皆無の開けた平原状なので雪の締まりはかなりいい場所と思われるが、北向きの尾根は日当たりが悪いのでスノーシューの出番があるかもしれない。

 斜面が車道まで接近した場所には杉が植えられていて、その直下の雪面は花粉で黄色く染まっていた。花粉症に人間にとっては悪夢の光景であるが、今は全く花粉は感じない。昨夜の雨でまだ杉の葉(花)に水滴が付いていて花粉が飛ばなかったようだ。今日は日差しが無く霧もかかって湿気が高かったので水滴がずっと残ったままだったようで、下山するまで全く花粉を感じずに済んだ。

 雪に埋もれていても何となく道の在り処は判別可能で迷わず進んでいくと毛の又沢川に接近し、立派な橋がかかっているのが見えて一安心。川は深く水量は多くて橋が無ければ渡るのは不可能である。

 橋を渡ってすぐに尾根に取り付こうかとも思ったが杉の植林でいかにも日当たりが悪く雪が締まっていそうにないので、上空が開けた林道をしばらく進むことにした。地形図では橋を渡って短距離しか林道は描かれていないが、実際にはもっと長く延びていた。周囲は杉の植林が続いたが、一部の斜面で帯状に植林が開けて自然林の斜面があり、ここは日当たりが良さそうで雪の締りが期待できるので、ここから尾根を目指すことにした。とは言っても長靴では足首まで潜る斜面でありスノーシューの出番である。

 結構な斜度であるがスノーシューのヒールリフタのおかげで快適である。すぐに体温が上昇して半袖に変身。今日は雪面での昼寝用に銀マットもザックに突っ込んだので、防寒具までザックに入れるとパンパンである。高度を上げると再び植林に変わると同時に雪に埋もれた林道を横断。尾根上に出ても林道があったので麓の林道と繋がっているのだろう。一帯は杉の植林なのでその作業用だろう。

 標高310m肩で尾根が右に曲がると同時に明るくなり、植林はここまでであった。このピークで尾根が分岐するので帰りはルートに要注意。もっとも今日は雪の上に明瞭な足跡が残るので間違えることはなかろう。この天気なら雪が溶けて足跡が消える心配も無い。

 暗い杉の植林帯から明るいブナの尾根に変わると今までより少し雪が締まった感じがする。もしかしたらスノーシュー無しで歩けるかもしれないが、面倒なのでスノーシューのまま歩くことにした。標高340m肩は僅かに盛り上がって小ピークになっていて、南には401.9m三角点峰が見えていた。どうやらそこまで雪がつながっているようであった。実際には僅かに雪が切れた場所があったがまだ藪は薄く、無雪期でも充分に歩けそうな植生であった。

 401.9m三角点峰は樹林が無く展望が開けた場所であったが今日の天候ではガスがかかって近場の山さえ見えていないのが残念。前方の雲の中に僅かに輪郭が見えている雪が落ちた黒いピークが繁松山らしかった。どうやら藪漕ぎが必要そうだ。

 ピークを下って390m鞍部からの登り返しで小さな雪庇を越えると残雪が一気に減少し、尾根東直下に一列に残るだけであった。ただしここでも藪は薄く無雪期でも問題なく歩けそうな状況であった。豪雪地帯とは言え標高が低いので藪はまだ薄いのであろう。雪が消えた尾根直上には道らしき筋があるようにも見えたが獣道だろうか?

 標高470m付近から残雪が増えて広範囲で尾根を覆うようになる。僅かにある杉の木の直下の雪は花粉で黄色く染まっているが、相変わらず花粉は感じないまま。この杉は植林されたものか天然ものか不明であるが手入れされていないのは間違いないようで、地面付近から左右に枝を伸ばしており目の前に雄しべが付いた枝が付きだしているが、そこには水滴が付いていた。花が水滴に覆われていては花粉は飛ばないわけだ。今日はずっと日差しが無くガスがかかって気温上昇が鈍かったので、下山時まで花粉を感じることはなく助かった。これからの時期は雪国でも杉の植林帯は大敵だ。

 573m峰はピークというより雪堤が連なる細長い尾根であるが、今は雪のおかげで尾根に生えたブナより高くなり展望が開けている。前方には雪が落ちて黒くなった繁松山とあおり山が見えている。これまで同様に雪が落ちた部分の藪が薄いといいのだが。

 繁松山の登りにかかる標高600m付近までは雪が続いたが、それ以降は尾根直上の雪は落ちて灌木藪が広範囲に出ていた。これまでよりは藪は濃いがまだ高密度と言う程ではなく藪漕ぎは比較的楽であるが、藪が濡れているのがいやらしい。ピッケルで水滴を叩き落しながら上がっていく。北向きの尾根だが地面には今年初のイワウチワの花があちこちに咲いていた。これまでも雪が消えた地面にはイワウチワの葉っぱは見えていたが花が咲いた株は皆無だった。日当たりがいい南斜面で真っ先に咲くのなら分かるがなぜ北向きの尾根で先に咲くのか謎であった。

 尾根直上には獣道らしき薄い筋あり。ここまでカモシカの足跡等動物の足跡があったからなぁ。一時的に雪が登場したと思ったら傾斜が緩んでピークに到着。ここが地形図での繁松山山頂である658.2m三角点峰であるが、日本山名事典ではこの先の660m峰を繁松山山頂としているので私もそれに従った表現とする。残雪は尾根の東側で直上の雪は解けているのでもしかしたら三角点が見えるのではと周囲を探してみると、円筒形の陶器?にはめ込まれた青銅のような色の金属円盤を発見。その表面には三等三角点と書かれていた。あれ? 三等三角点は御影石製のはずで、このような構造は四等三角点でしか見られないはずであり、初めて見るタイプの珍品三等三角点であった。ここは東側に樹林が開けているが残念ながらガスがかかって東側の毛猛山塊は見えなかった。近くの木には山頂標識や目印は見られなかった。そういえばこの尾根上には境界標識らしき頭が赤い杭が点在していたので人跡未踏というわけではなさそうだ。

 次は日本山名事典の山頂である660m峰に向かう。雪は三角点付近だけで再び尾根付近は灌木藪が出ており、それをかき分けて進む。よく見ると獣道は尾根直上ではなく尾根の西側直下を巻いているのでそれに従うと、西側斜面は灌木が少なく歩きやすかった。野生動物もできるだけ楽をしようと考えるようだ。

 雪が現れて微小ピークに到着し660m峰かと思ったが、その先で下りがほとんど無かったので偽ピーク。次の雪に覆われた細長いピークが本当の660m峰=日本山名事典の繁松山山頂であった。周囲は背の高いブナに覆われて展望が悪い場所であったが、今はガスの中なので輪をかけて展望が悪い。

 最初の目標は達成したので次はあおり山。さて無事に登れるだろうか。繁松山付近は長い距離で雪が落ちて藪が出ていたのでスノーシューはザックに括り付けてツボ足で歩いてきたが、繁松山山頂の雪の上でもほとんど沈まなかったのでスノーシューは使わずにそのまま進むことにした。意外にこれでも大丈夫で踏み抜きはほぼ無しで、下りで潜っても足首程度。場所によっては長靴のままでも全く沈まなかった。もうスノーシューの時期はおしまいで、使ってもワカンでOKかもしれない。ちなみにワカンは昨年の未丈ヶ岳でデポしたものを盗まれてしまい手持ちがないため、帰宅後に新規購入する羽目になった。ワカンとスノーシューでは浮力が違い、スノーシューの方が浮力が大きいが重量が重いのでそれほど浮力を必要としない場面ではワカンの方が楽できる。それにワカンは下りでも使いやすい。

 繁松山から下りにかかるが山頂北側と違って今度は雪が切れることは無く快適に歩ける。630m鞍部は二重山稜になっており、繁松山側は東側の尾根が主稜線だが、あおり山方向は西側の尾根が主尾根であった。両尾根の中央には雪に覆われた窪地あり。西側の主稜線に這い上がると尾根上は藪が出ていたが短距離で雪が復活。雪質が良くこの先も長靴のままでも苦労せずに済みそうなので670m峰手前でスノーシューをデポ。スノーシューは両足で2kg以上あるので足に付けても背負っても結構な重さになり、デポの効果は大きいだろう。

 670m峰も豊富な残雪に覆われていた。尾根の右側は杉の植林である。豊富な残雪は続いて651m峰も雪に覆われていて、尾根直上から右側は杉の植林帯である。しかしここまで標高が上がると冬場に積もる雪の量も半端ではないはずで、新たに植林されたと思われる小ぶりの杉の半分近くが幹の途中から折れていた。これでは木材としての価値はほとんど無いだろう。折れ曲がってほとんど雪面から現れていない杉もあり、杉を植林する場所としてはかなり条件が悪いようだ。

 杉の植林帯は尾根幅が広く傾斜が緩い標高700m付近までで、その先で尾根幅が狭まって傾斜が強くなってくると自然林に切り替わる。同時に尾根上の雪が落ちて灌木藪が出ているので、雪が残っている西斜面をトラバース。それができるのは標高730m付近までで、その先はさらに傾斜が強まって尾根上に復帰するのが難しくなるので西斜面の雪を断念して尾根上へ突き上げる。

 尾根上は思ったほど藪は濃くないが目の前には霧に包まれているが地形図の岩場らしい急傾斜が立ち上がっている。そして植生は落葉樹から針葉樹へ。過去の経験ではこれは非常に悪い兆候で、周囲が全て落葉樹なのに一部だけ針葉樹のパターンは岩や痩せ尾根の危険地帯を意味している。昨年撤退した富山の瘤杉山も同じパターンであった。雪が付いていないのは有り難いが今は藪が濡れた状態であり岩も濡れて滑りやすいだろう。霧で先は見えないが状況によっては撤退もあり得るかもと覚悟する。今まで片手にピッケルを持っていたが、この後は岩が登場するだろうから両手を空けていないと危険と予想され、ピッケルをザックに括り付けた。

 最初の岩が登場すると同時に傾斜が一気に強くなる。出だしは枯れた倒木が尾根上を塞いでいてその下を潜る必要があるが、ここでザックのピッケルが倒木に引っかかって難儀する。岩場なので足場が限定され、大怪我をした左膝は元の状態に戻っておらず不自然な膝の曲げ方では痛みが出るのでダブルで通過に苦労した。

 どうにか倒木を通過したが、その先がいよいよ本格的な岩場だった。見た目には露骨な岩の崖ではないが傾斜は崖に近く、灌木はあるが間隔が比較的広くて落ちたら藪で止まりそうになかった。登るだけならどうにかなりそうにも見えたが、ここをロープ無しで下るのは私の技量では無謀である。せめて岩が乾いていて足元が長靴じゃなかったらもう少し考えたかもしれないが、今の状況では即撤退の判断であった。これを突破できれば山頂まであとちょっとなのだが残念無念。難易度が要因で撤退となった事例が2年連続で続いたのは珍しいが、計画段階からその可能性は想定していたので想定範囲内の結果と言える。

 撤退しながら迂回路が無いか周囲を確認したが、尾根西側が途中までは行けそうに見えるが最後はほぼ垂直な壁でありジエンド。このルートは尾根正面突破以外はあり得ないだろう。下山時に気付いたが岩場には完全に朽ち果てて切れたフィックスロープが残っていた。ロープのバラけ方からして登山用のザイルではなく一般的なクレモナロープだと思われ、岩屋さんではなく一般登山者(こんなところを登るのは"一般"とは呼べないか)のものと思われた。立木はそれなりにあるので支点には困らないと思う。岩場の枯れ木の一部は断面が刃物で切った平面であり、完璧な刈り払いではないが人の手が入ったことがあるのは間違いない。

 帰りはほぼ往路を戻る。デポしたスノーシューを回収してザックの裏側へ。帰りは雪が緩む標高まで下りるまで長靴のままで歩いた。灌木藪を歩いている時にタムシバの花芽を発見。開花は間もなくのように見えてイワウチワと合わせて春の訪れを感じさせた。

 天気は僅かに下り坂の様で帰りの方が霧が濃くなって往路では僅かに見えていた隣の尾根が全く見えなくなっていた。しかし霧を通して僅かに太陽の輪郭が見える時もあり、雨を降らせるような雲ではなさそうだった。雨が降ってきたのは下山後の午後になってからだった。

 標高350mを切ると雪が緩んで長靴ではコンスタントに足首まで潜るようになったのでスノーシュー装着。杉植林帯の尾根に入ると往路とは進路を変えてそのまま尾根を辿った。一部で自然林に変わる場所もあったが大半は杉の植林帯が続いた。尾根末端付近で林道と橋が見えたところで僅かに左に進路を振って林道に降り立った。

 残りは林道歩き。往路では長靴のまま歩いてきたのでキャタピラ跡に乗るまでは自分の足跡が残っていた。先週の高倉山よりは林道歩きの距離は圧倒的に短いしデブリは皆無だし雪の締まりはずっと良好だったので歩きやすかったし、体力の消耗は少なくて済んだ。キャタピラ跡でスノーシューを脱いで足元を軽量化。ザックは重くなったが足の軽さの方が効果は大きい。

 除雪終点に到着。向松川集落には人の姿は無く静かなままだった。繁松山方向を振り返ると低い雲がかかって401.9m三角点峰付近までしか見えていなかった。下山後、予報より天気が悪化したようで午後1時過ぎから魚沼でも断続的に雨粒が落ちてきて早めの下山は正解だった。

 

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